HARALD SZEEMAN


ハラルド・ゼーマンは、1933〜2005年のスイス生まれであり、戦後のヨーロッパを代表するキュレーターである。スイスのベルンで行われた『態度がフォルムになるとき』展“Live in your head : When attitudes become form – works – concepts – processes – situations – information”(1969年)は、現在でもしばしば引き合いに出され、60年代のヨーロッパにおいてそれまでの芸術の概念を覆すコンセプチュアル・アートを徹底的に推進させたキュレーターであると言われている。


『態度がフォルムになるとき』展=展覧会実践の方法論における重要な転換点

1960年代という時代はあらゆるものが多かれ少なかれ、「進化は表現されなければならない」という「表現」の時代であり、人々は変化を切実に求め、実験的な雰囲気にあふれていたと言う。そうした中で、ゼーマンは、展覧会を開くことだけに興味があったのではなく、常にクリエイティビティ(創造の力)の中心になるような、なんでも可能になる場所の開拓を行おうとしたのである。


残らないattitudes<観念>を展示したり、展示ができるまでの過程(アーティストへのオファーの手紙なんかもカタログに掲載)を見せたり、実験的でおもしろい。
ゼーマンは芸術に境界線を引かなかった。
ヴィジュアル・アートの総合的な場を作り、観客に対して「答え」を導くことはなかった。


ゼーマンの言葉
「展覧会を組織することは、表現の一つの手段です。作品と空間の結合=婚礼を取り持つこと、それはおそらく言葉にならない詩の創作であり、あるいは黙した悦びであるでしょう。ある空間的条件の中で、複数の作品の音色を響き合わせること、もしくは作品に最も深く息づく空間を授けること、愛を持って展覧会を組織するとは、そのようなことだと私は考えています。個々の作品の各々の強度の中には、ひとつのユートピア、言わば、計量不能剰余価値があります。これこそが可視化されなければならないものです。それは、一生涯を捧げるに値する仕事です。―」
(月刊アトリエno.758,1990年4月,アトリエ出版社)