Live in your head : When attitudes become form

*参考資料掲載
(月刊アトリエno.758,1990年4月,アトリエ出版社より)


『態度がフォルムになるとき』展
“Live in your head : When attitudes become form – works – concepts – processes – situations – information”(1969年)


ハラルド・ゼーマンによる序文 一部抜粋

 『態度が形になるとき』(作品―観念―過程―状況―情報)は、妙に統一性がなく複雑であったこれまでの展覧会に異議をとなえるものである。次のような問いが許されるだろう。ここでわれわれはこの数年優勢であった幾何学的抽象の復興、主観芸術、タシスムの焼き直しといったものと関わりを持つのだろうか。確かにここで展覧される芸術家の多くについては、デュシャンの創作過程への偏愛、ジャクソン・ポロックのアクションにみられる緊張感、60年代はじめのハプニングにおいての素材と肉体的緊張と時間との統合などが、その系譜として広く知られている。しかしながらどの場合においても、純粋な視覚体験が、作品を新たに創作したいという願望を引き起こしはしなかった。ヒッピー、ロック、そしてドラッグの常用は、遅かれ早かれ、若い世代の芸術家たちの行動に影響を及ぼしたにちがいない。その主だった代表者の何人かが東部の影響をとりわけ排除していたアメリカ西海岸出身であることは特徴的である。こうした反社会的形式の多くは、一方では瞑想の愛好、他方では身体や独創性における自己賛美に支えられた行動にもとづいているが、これらがこの新しい芸術の中へと流れ込んでいった。ヨーロッパでは、さらなる多くのモザイク石が見出される。すなわち、中心の喪失が芸術家をさらにいっそう地元に留まるようにさせ、その時々の社会のあらゆる表象に反対する意識芸術を作らせたのである。同時に「芸術展覧の三角形」―アトリエ、ギャラリー、美術館―を打破したいという欲求が感じられるようになった。……この展覧会のタイトル(それは一つの命題であって、スローガンではない)もまた、次のような理由から理解されねばならない。つまり、それまでまだ芸術家たちの内的態度はあまり直接的に作品に反映されてはいなかったのである。むろん常にそうであったというわけではなく、モンドリアンポロックはその内的姿勢をフォルムにした―しかしそれは完結した結果、あるいは自律的オブジェを念頭においてのことであった。ところがこの展覧会に参加した芸術家は、いずれもオブジェから自由になろうと努め、そうすることによって、オブジェを超えた、きわめて重要な状況に到るように、その意味の層を拡張するのである。彼らは、芸術創造過程が最終的な作品や「展覧会」においても明らかに目で確認できることを欲している。こうした芸術家にとって、自分自身の肉体と人間特有の動きを司る力は、それほど大きな役割を果たし、そしてそれらが、新しい「フォルムと素材のアルファベット」を形成するのである。
一連の芸術家、たとえば「アース・アート」の芸術家たちは、もはや作品ではなく情報を、また「コンセプチュアル・アート」の芸術家たちは、物質的なものを全く必要としない作品の見取り図を展示する。こうしたコンセプチュアル・アートは、好んで既成のシステム(テレフォン・ネットワーク、郵便、雑誌、地図)を用いながら「作品」を創作し、最終的には、もともとの出発点についてのあらゆる説明を廃した新たなシステムへと、それを導く。
作品、観念、過程、状況、情報(われわれは、それぞれの表現がオブジェや実験を免れないということを知った)は、こうして芸術上の態度がなりをひそめたフォルムなのである。それは造形作家の先入観からではなく、芸術創造の過程を経験することから生まれるようなフォルムである。このようなフォルムはまた、身振りの延長として、素材の選択や作品のかたちを記録する。この身振りは個人的な親しみ深いものとも、また公共的で拡張的なものともなり得る。とはいえ、常に過程が本質的なものとして存在する。過程は「筆跡」であり、同時に「文体」でもあるのだ。したがってこの芸術の意味というものは、ある世代の芸術家がひとまとまりとなって、「芸術と芸術家の本性」をありのままの過程としてのフォルムの中に置くよう試みることにある。


+参加アーティスト
C.アンドレ、J.アンセルモ、R.アーシュワーガー、R.バリー、J.ボイス、A.ボエッティ、M.ブフナー、M.ベーシェム、H.ダルボーヴェン、J.デイベッツ、G.ファン・エルク、R.フェラー、B.フラナガン、H.ハーケ、M.ハイツァー、E.ヘス、D.ヒューブラー、A.ジャケ、N.ジェニー、E.キーンホルツ、Y.クラン、J.コスス、J.クネリス、S.ルウィット、R.ロング、B.マクリーン、W.デ・マリア、D.メダラ、M.メルツ、R.モリス、B.ナウマン、C.オルデンバーグ、D.オッペンハイム、パナマレンコ、P.パスカリ、M.ピストレット、M.レッツ、R・ルーテンベック、R・ライマン、サルキス、R.セラ、R.スミッソン、K.ソニア、R.タルト、L.ウェイナー、G.ゾリオ,etc.